-前書き-

-前書き-

この世に存在するありとあらゆる物には属性が存在する。
形状、重量、質、肩書きや能力。容姿や名誉。それらは単に識別の為だけに作成されたものではなかった。
人が世界を掌握する為に作った分類。 属性とは、所属している職業、身体能力、その人物が行った事象やそれにより 手に入った副産物など、個人が所持している全ての事柄を意味している。 人が人だからこそ求め過ぎてしまう欲望が具現化した結果作成されたカテゴリなのだった。

学校行事の一つに生徒総会という物がある。毎年当たり前の様に行われている地味な学校行事。毎年部活動の活動に掛かる経費について項目毎に読み上げて、必要か無駄なのかを 全校生徒に報告したり、事前に生徒から集めた学校生活での不満に対する要望に対する回答をひたすら読み上げる行事。 体育館で行われる退屈な一時。パイプ椅子に座れる生徒会のメンバーに対し、一般の生徒達は地べたに体育座りという扱い。 時間が経つにつれ、身動きの取れない状況のせいで腰が物言えぬ程痛くなったり眠気に襲われたりし、まるで拷問の様な経験を誰もが体感したことだろう。
生徒からの要望の一つに冷水器を設置して欲しいという物がある。想像してみる。 真夏の日に限ってグラウンドで行われる体育の授業があったとする。汗にまみれて、頭から火がつくほど熱され力尽きた生徒たちは失ったものを取り戻すべく水分補給を求めて彷徨い歩く。その場でゴクゴクとお茶を飲みたいという衝動に駆られるのだが、各自が用意できる水筒のお茶には限りがある。 もしも飲み干してしまえば、後に待ち受ける地獄のような授業に耐えられなくなってしまうだろう。又、校内に設置されている 自販機のジュースは朝練の運動部の連中に、事前に買いつぶされ、連日SoldOut(売り切れ)状態だったりする。 そんな時に学校に冷水器があれば、飢えに苦しむ万人の命は救われ、目も当てられない骨肉の争いは止み、博愛主義の世界が広がりを見せるだろう。と謳ったのはどこぞの宣教師だっただろう。そんな生徒体の切実な要望も「大勢の生徒が利用する際、食中毒等の衛星問題が発生します。もし、浄水器ではなく、冷浄水器の設置を考えるとしても予算の都合上設置は難しいです。」 という一言で片づけられてしまう。 スカートの丈を短くしたい、自転車通学を許可してほしい、屋上を開放して欲しい等の要望も同様に流れ作業の様に斬り捨てられる。 通らない要望に対して凝りもせず投稿する生徒達と学校の治安を守る生徒会による理不尽な行事。 だが、今となってはそれらは過去の話と化している。 なぜなら、

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